成長と運動について

犬とスポーツを楽しむには、何ヶ月くらいから、どのくらい練習したら良いのでしょう。
どんな事に気をつけたらよいのでしょう。
愛犬と長く楽しくスポーツをするために、気をつけたら良いことを書いてみました。


■2〜4ヶ月
2ヶ月から4ヶ月の子犬は、まだきれいな股関節を持っていると言われています。ここでの「きれい」と言うのは、股関節形成不全が全くないという事ではなく、まだ骨盤の凹と大腿骨の凸に緩みが少なく、骨がきれいな軟骨に包まれていると言うことです。レントゲンを撮っても、この時期には関節の異常は見当たらないとさえ言われています。
ですからこの時期には、フローリングで足を滑らせたり、犬同士でプロレスごっこをさせたりして、関節が緩む原因を作らないということが大切です。関節が緩むと、股関節がぐらぐらしてしまい、股関節形成不全を進行させてしまう結果になります。
犬同士で挨拶ができることや、人見知り・犬見知りしないように社会化を教えるのはとても大切な事ですが、人間(飼い主)と一緒にいるより犬友達と遊んだ方が楽しいことを覚えてしまえば、飼い主の言うことを聞かなくなってしまうのも事実です。中には、関節がしっかり固まる6ヶ月くらいまで、犬同士で遊ばせないという方もおられるようです。
とは言っても、ノーリードで競技を行うドックスポーツでは、いろんな事に慣れさせておく社会化は絶対に必要です。子犬の性格にあわせて、一番良い社会化ができると良いですね。

■3〜6ヶ月
いよいよ、お散歩デビューです。やっと外に出られるようになり、一緒に「ボール遊び」待ち焦がれている事と思います。
しかし、この時期に激しい運動をしてしまうと、軟骨や大腿骨頭(凸)に傷がついてしまったり、大腿骨が曲がってしまいます。大腿骨頭に傷がつくと、股関節形成不全が発症した時にギザギザに傷ついた大腿骨頭(凸)が骨盤(凹)を傷つけてしまい、激しく痛みを引き起こすそうです。
楽しみにしていたお散歩も、まだこの時期には(ほどほど)でやめておいた方がいいです。何キロも歩いたりジョギングにつき合わせるよりも、公園での自由運動が適しています。何度も何度もボールを投げて追いかけさせるよりも、紐がついたおもちゃで「引張りごっこ」をして遊ぶ方が良いと思います。
「引張りごっこ」は、犬に(遊びたい)(やりたい)という欲求が芽生えてきます。今はたくさんレトリーブできなくても、(やりたい)という欲求があれば大人になってからでも十分スポーツはできるのです。
また、成長期の1歳までは太らせないというのも、とても大切な事です。フードを控えめにあげると股関節形成不全の発症がおさえられるというのは、TARO'S CONNECTIONに紹介してあります。
「激しい運動」とは、ボールなどを使って、急ブレーキ、急ターンをするような運動や、アスファルトなどの硬い地面の上での運動を指します。

■6ヶ月〜1歳
だんだん、大人の体に近づいてきました。メスならヒートも来るので、大人になったと思ってしまうのですが、成長が完全に止まってしっかりした体になるのはまだまだです。コーギーでは、約1歳半と言われています。
散歩の距離もだんだん伸びていくでしょう。少しずつ、アジリティーならハードルの練習、ディスクなら空中キャッチもできると思います。だけど、あせらないで! まだまだ未熟な体なのです。個体差もあるので一概には言えないのですが、3回練習したら止めるとか、1週間に1日の練習にするとかある程度決めて、毎日のように何度も何度も練習するというのは止めておいたほうが良いでしょう。
また、スポーツを楽しみたいのなら、1歳前後に一度レントゲンの検査を受ける事をお勧めします。軽度の股関節形成不全であったとしても、気をつければスポーツを楽しむこともできるそうです(TARO'S CONNECTION参照)。大切なのは、飼い主が犬の状態を把握しておく事で、どのくらい練習したら良いのかという目安にもなります。
3〜6ヶ月同様、過度の激しい運動を控える事と、体重管理はとても大切です。

■1歳〜
1歳からは、少しずつ本格的な練習をはじめられると思います。ただし、完全に成長か止まるのはコーギーでは1歳半と言われていますので、2歳になってから本格的に練習に入った方が良いという意見もあります。
必ず、練習場まで歩いていくなどのウォーミングアップ、歩いて帰るクールダウンを行います。これらの時には、歩様などの異常を見つけるチャンスなので、練習した後に歩き方に異常がないかチェックします。
練習する上での注意は、「土の上で練習する」アスファルトやコンクリートなどの硬い地面の上での運動は避ける。
「グランドコンディションを確認する」冬の朝、凍ったグランドや雪解け、石や穴などの障害物に注意する。
「体重管理をきちんと行う」体重が少しでも多いとジャンプした時に一気に関節に負担がかかるので、常に痩せ気味くらいに維持する、などです。
また、1年に1回はレントゲン検査を行います。股関節は、運動によって軟骨が磨り減ってしまったりと常に変化しているので、今の状態を把握しておきます。